宅建業務の要!「専任の宅地建物取引士」の専任性とは?
行政書士法人TOTALの松尾です。
宅地建物取引業の開業をお考えの方、すでに事業を継続されている方のどちらにも重要な要素となるのが、「専任の宅地建物取引士」です。
今回は、この「専任の宅地建物取引士」が担う役割、そして特に重要となる「専任性」の要件について、解説していきたいと思います。
「専任の宅地建物取引士」の役割
宅建業法では、消費者の利益保護を目的に、事務所に一定数の専任の取引士を設置するように義務付けられています。
この「一定数」というのは、宅建業に従事する従業員5名につき1名以上の割合になります。
たとえば、宅建業に従事する従業員が18名の場合は、4名以上の専任の取引士の設置が必要になります。
また、この割合は、全従業員が対象ではなく、あくまで宅建業に従事する方に限定されている点に注意が必要です。
つまり、専任の宅地建物取引士は、その事務所における「宅地建物取引のエキスパート」として、責任を果たす役割が求められているのです。
「専任性」が鍵!「専任の宅地建物取引士」の要件とは
「専任の宅地建物取引士」となるためには、宅地建物取引士であることと、「専任性」という2つの要件を満たさなければなりません。
「専任性」について簡単に説明しますと、
「その事務所に常勤し、宅地建物取引業に専ら従事すること」を意味します。
この「専任性」について判断が必要になるケースをいくつかご紹介します。
なお、本記事についてははお問い合わせの多い東京都の事例を主にご紹介していきます。
【副業】
専任の取引士は宅建業者の営業時間中、事務所に常勤し、宅建業に従事しなければならないため、一般的にはどの行政庁であっても副業を認めておりません。
なお、東京都では2024年11月1日から、営業時間外での副業が認められるようになりました。
が、営業時間外のみの副業に限られるため、あまり広く認められているわけではないことに注意が必要です。
【他社の役員】
他社の役員が専任の取引士になることについては、認めている行政庁が多いです。
しかし、「専任性」を満たすために、他社については非常勤である必要があります。
【他社の代表取締役(個人事業主含む)】
東京都の場合、グループ会社や子会社であっても、他社の代表取締役は宅建業者の専任の取引士となることはできません。
たとえば、A会社とB会社の代表取締役は、どちらかではなく、AとBの両方の専任の取引士となることが出来ません。
そのため、仮にA会社で代表取締役 兼 専任の取引士の方が、免許取得後にB会社を設立してしまうと、その代表の「専任性」が認められなくなるため、A会社には専任の取引士がいなくなってしまいますので注意が必要になります。
今回は東京都の場合をご紹介しましたが、申請先の行政庁によって要件の判断に違いがあるため、複数の法人の代表取締役であっても専任の取引士となれる場合もございます!
弊社は東京近県の千葉県・埼玉県・神奈川県、大臣免許の実績も数多くございますので何か気になる点、不安な点がございましたら、お答えいたしますので、ぜひ、お気軽にお問い合わせください!
まとめ:適正な宅建業の運営のために
「専任の宅地建物取引士」は、免許の要件としてだけではなく、お客様にも関係のある重要な要素となります。
また、取引士の方がいない場合はもちろん、取引士の方がいる場合であっても、専任の取引士としての要件を満たしていなければ、専任の取引士の不設置となってしまいます。
専任の取引士の不設置は、行政指導や行政処分の可能性もある法令遵守上の懸念事項となりますので、そのような事態を避けるためにも、専任の取引士につきましては、慎重にご確認することをおすすめいたします。
弊社にお問い合わせいただけましたら、確認をさせていただきますので、ご不明な点があれば、ぜひ、相談ください!